【耳切坊主】沖縄県那覇市首里で語り継がれる坊主の耳を切った女の末路
那覇・首里に伝わる恐怖の伝説「耳切坊主」とは?
沖縄県那覇市・首里に古くから語り継がれる怪談、「耳切坊主(みみちりぼうず)」。この伝説は坊主の妖怪が夜な夜な現れて人の耳を切り落とす恐ろしい話として知られていますが、実は琉球王朝時代に実在したとされる僧侶や王族がモデルとなっています。 耳切坊主の物語は単なる怖い話ではなく、歴史や人間ドラマが密接に絡んでおり、その背景を知ることでより深く物語の魅力に触れられます。 この記事では、耳切坊主の伝説の成り立ちから、その怖さの本質、そして今でも語り継がれる意味までを徹底的に解き明かします。 ## 伝説の始まり:黒金座主と北谷王子の因縁
黒金座主とは?妖術を使う悪僧の実像
耳切坊主の正体は琉球王朝時代の黒金座主(くろがにざーし)という僧侶。彼は天台宗の修行者でしたが、怪しい妖術を使い女性を惑わし襲う悪人として恐れられました。 ある夜、黒金座主は女性たちを術で翻弄し、町に恐怖を広げていたため、琉球王から討伐命令が出されます。命を受けたのが武芸の達人である北谷王子(ちゃたんおうじ)でした。
囲碁勝負で命を賭ける
北谷王子は黒金座主に直接対決を挑みます。形は囲碁の勝負で、両者は賭けを持ちかけました。 黒金座主の賭け:勝てば北谷王子の髷(かたかしら=日本髪の一部)を切る 北谷王子の賭け:勝てば黒金座主の両耳を切り落とす
ところが黒金座主は術で王子を眠らせようとします。この時、王子の機転によって逆に黒金座主が捕らえられ、両耳を切り落とされることになりました。 この傷が元で黒金座主は死に、怨霊となって夜な夜な王子の屋敷に現れるようになるのです。 ## 恨み深い怨霊「耳切坊主」と夜の恐怖
夜な夜な現れる怨霊の姿
黒金座主の死後、彼の怨霊は「耳切坊主」となって大村御殿(王子の屋敷)の周辺に出没しました。 伝説によると、耳切坊主は特に男の子の耳を好んで狙い、赤ん坊が生まれるとその耳を切ろうと夜毎に現れたといいます。 これは男児が生まれてもすぐに命を落とす不幸が続いたため、「耳切坊主の祟り」と恐れられました。
子守唄に込められた恐怖
地域では耳切坊主を封じるための子守唄も生まれました。その歌詞は愛情たっぷりでありながら、どこか理不尽で恐ろしい内容。
例えば、
「泣いたら耳を切られるよ」
というフレーズは、子どもたちに恐怖と服従を植え付けるものでした。
この子守唄が代々受け継がれることで、耳切坊主の恐怖は今に至るまで首里の人々の心に刻まれています。 ## 実在人物が絡むからこそのリアルな説話
史実と伝説の境目
耳切坊主の登場人物である黒金座主と北谷王子は、18世紀ごろの実在の僧侶・王族です。
しかし、実際の黒金座主が本当に悪僧であったかは歴史的に議論が分かれるところ。 一説には、権力争いの被害者だったとも言われており、その悪評が怨霊伝説となった可能性があります。 また、北谷王子の家系に男子が産まれず悲劇が続いたことも事実として知られており、これが耳切坊主の祟り伝説に拍車をかけました。
伝説を通じて伝わる教訓
単なる怪談ではなく、これは権力闘争や男女の不幸、社会の不安を象徴した物語とも捉えられます。 それゆえに、怖い話としての恐怖だけでなく、歴史の裏にある人間ドラマを想像し味わう楽しみが耳切坊主にはあります。 ## 今も息づく耳切坊主の伝説とその場所
怪談スポット「大村御殿跡」
耳切坊主が現れたとされる王子の住まい「大村御殿(現・中城御殿跡)」は、首里城から徒歩10分の場所にあります。 ここは今も地元の人や観光客が訪れる怪談スポット。夜間には耳切坊主の子守唄がどこからともなく聞こえてきそうな、ゾッとする雰囲気が漂います。
体験談:真夜中の不思議な気配
地元の人の話によると、 夜に大村御殿跡近くを通ると急に冷たい風が吹くことがある 誰もいないはずの石垣の角に何か視線を感じる
そんな体験が幾度となく語られており、耳切坊主伝説への信憑性と恐怖感を深めています。 ## まとめ:耳切坊主は怖いだけじゃない、首里の歴史と文化の鏡
耳切坊主の物語は、ただの怖い怪談ではなく、 琉球王朝時代の実在した人物たちの運命 社会の不安や子供を守るための戒めを込めた民間伝承 今も生きる地域の歴史や文化の象徴
として深い意味を持っています。
この伝説を知ることで、皆さんは沖縄の歴史や文化により近づき、不気味でありながらも魅力的な首里の世界を体験できるでしょう。 首里を訪れる際は、ぜひ「耳切坊主」の跡地を歩きながら、昔語りの奥深さを感じてみてください。それはただの怖い話以上の、心に響く人間ドラマなのです。


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